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毎日新聞 2009年7月9日 22時50分
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090710k0000m010137000c.html
臓器移植法:スピード審議に批判も 死の定義、溝埋まらず
参院厚生労働委員会は9日、臓器移植法改正案について、「脳死は人の死か」を中心に質疑をし、審議を終えた。だが、死の定義に関するA案と修正A案の違いといった基本認識すら食い違ったまま。7日の修正A案提出から2日で審議を打ち切り、13日にも採決しようとしている背景には、理念はあいまいでも衆院解散ですべて廃案となるよりはマシという一部移植推進派の意向があるが、移植慎重派は「拙速だ」と批判を強めている。
A案に対し、慎重派の間には「脳死は人の死」という考えが医療一般に広げられないか、との疑問が根強くある。衆院ではこの点を徹底して攻められたこともあり、A案提出者の冨岡勉衆院議員(自民)は9日、「移植の手続きを定める法律であり、(脳死が人の死という考え方が)それ以外の場面に及ぶことはない」と強調した。
A案は「臓器移植に限り脳死は人の死」とする現行法の規定を削除しており、その点が慎重派の疑念を呼んだ。そこでA案提出者は「脳死を人の死とするのは臓器移植法限定」と言い始めた。
だが、丸川珠代氏(自民)は「衆院段階と微妙に変化している」と突き、「A案支持者の間で見解が分かれている」と批判した。
これに対し、脳死の位置づけに関する現行法の規定を復活させたのが修正A案だ。提案者の西島英利氏(自民)は9日、A案提出者の説明を逆手に取り、「移植時限定と明確にした方がいい」と修正理由を説明した。
ただ、これには「脳死は人の死」と考えるコアのA案支持者と、それに真っ向から対立する子ども脳死臨調設置法案支持者双方が「A案とは180度考え方が違う」と反発した。実際、修正A案は、死の定義に関する考え方の違う議員が、「改正法案の今国会成立」という一点で結びついて生まれたものだ。
修正A案の審議は9日、わずか1日で終了した。推進派が急ぐ理由は、東京都議選(12日)から間があくと政局が流動化し、衆院解散となれば法案が廃案となってしまうと懸念しているからだ。
しかし、修正A案提出者のみならず、A案提出者も「脳死を人の死とするのは移植の世界だけ」と口をそろえだしたことには反発も生まれている。8日の参院自民党の勉強会で尾辻秀久議員会長は「Aも修正Aも同じなら二つ出す必要はない。脳死は人の死なのかはっきりさせてほしい。法的にあいまいにし、ごまかしている気がする」と怒りをあらわにする一幕もあった。
臨調法案提出者の小池晃氏(共産)は、「これを修正案というのでは木に竹をつぐような話だ」と厳しく批判した。【鈴木直】
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